Kathy's Diary

不定期でひそかにやってます。

独自に孤独 『人形の傷跡』(ノベルゲーム)

 「笑い」には色々なタイプのものがある。そして「怖い」もまた然り。
 わたしは一時期スマホのノベルゲームに入れ込んでいた。一番印象的だったノベルゲームは?ときかれたら、child-dreamの『人形の傷跡(2015年版)』をあげると思う。このゲームの制作側の紹介文に「若干のホラー要素あり」とある。わたしは恐怖モノは苦手である。しかし、サンプルのビジュアルにどこか惹かれるものがあって、肚を括ってプレイを決めた。
 冒頭のシーン(とてもセンスを感じた。)から展開までの間、一貫した閉塞感・女性的な不安にとりこまれてしまう。そういう雰囲気と、各場面(出来事)が強烈だったりほのかに不穏だったりという満ち引きが現実めいていて、その感じがこわい。夜プレイするより昼プレイする方がいい感じに?怖じ気づくことが出来る、とでもいうのか。

 それでもストーリーが進むにつれて、だんだん恐怖感は薄れていく。それより主人公が徐々に周りの信頼を得ていく過程が、別の感情を起こさせる。さらに局面ではストーリーより、そこから外れたものに引っ張られていた。ラストシーンには、独自に孤独な二人がいる。それはテーマより真相より倫理より、何か特別な切なさがあった。わたしは制作側の意図ではない、というかあべこべなことを感じていたのかもしれない。わからないが。
 それと劇中のはじめの方の新幹線の場面で使われているBGMが好きで、そのあとも色々な場面で使われるのだけど、わたしは勝手にこの曲をメインテーマと感じていた。主人公含め登場人物たちの心許なさを彩っていた。

 
 ーネタバレなしって感じで書いてみたら何言ってんのかさっぱりわかんねーな。
 もともとこのゲームは別媒体でのリリースが1998年くらいだったらしい。たしかにこの題材って当時流行だった気がする。今なんかもう進み過ぎてわたしは「それ」について考えることもないのだが・・・。